「所定労働時間」は、就業規則などに明記されている労働時間です。始業時間が9:00、終業時間が17:00で1時間の休憩があれば、休憩時間を抜いた7時間が「所定労働時間」です。
「法定労働時間」は、労働基準法第32条の中で決められているものです。原則として1日8時間かつ、週40時間の労働時間を上限としています。法律で上限が設けられていることで、労働者が過剰な労働をさせられることなく健康を保ちながら仕事をすることができます。
「所定労働時間」を超えて仕事をした場合、たとえば、就業規則で所定労働時間が9:00〜17:00と決められているものの、18時まで働いた場合は残業時間が1時間になります。雇用側は残業代は支払いますが、割増賃金を払う必要はありません。なぜなら、割増賃金を支払う義務は「法定労働時間」を超えた時に生じるからです。「法定労働時間」は1日8時間なので、9:00〜18:00まで働いたとしても、「法定労働時間」は超えていません。
また、「所定労働時間」には例外はありませんが、「法定労働時間」には例外がいくつかあります。例外の1つは特例措置対象事業場で働く場合です。この場合は、1日8時間、週44時間が上限となります。対象の事業場には病院や介護施設なども含まれています。
変形労働時間制が適用される場合も例外で、1ヶ月のくくりで見た場合に、1週間の労働時間の平均が40時間以内、1年単位で見た場合、1年間の労働時間が2085.7時間以内になっていれば、「法定労働時間」の範囲内です。